研究概要 |
本年度2009年6月に、標高5640mのチャナントール山頂に設置された東京大学1m赤外線望遠鏡(通称miniTA0望遠鏡)に近赤外可視カメラANIRを取り付けてのファーストライト観測に成功した。この観測ランは安定運用に向けた主にエンジニアリング試験を目的としたものであり、ガンマ線バーストフォローアップを行うことはできなった。しかしながら、各種試験データを取得し、近赤外チャンネルの性能がほぼ当初の目標に達していることを確認した。また、その際に搭載されていたCCDカメラはインターレース型の量子効率の低いものであり、観測の結果からもシステム効率で3-10%しかないことを確認した。 その後予定通り裏面照射型CCDカメラFLI・PL4710-1-MBを購入し、10月に行われた2度目の観測時に取り付けた。これにより、システム効率が15-30%に向上し、特に長波長側のIバンド(800nm)で5倍以上の感度向上が確認できた。さらに、この観測ランでGRB091015、GRB091018の2イベントのフォローアップ観測を行った。その結果、GRB091018の可視・近赤外残光観測に成功し,GCN (GRB Circular Service)への報告を行った。この観測から、アタカマの安定した気象条件と1秒角を切る良好なシーイングなど、このサイトがガンマ線バーストのフォローアップ観測に非常に適した場所であることが確認できた。しかしながら、山頂はネットワークに接続されていないために、観測前に山麓でアラートをチェックし、そこで出ていた天体の観測を行うしかなく、観測の即時性の問題が残った。これについては、2010年度に整備される予定の山頂-山麓間の無線ネットワークで解決される予定である。
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