公募研究
平成21年度の研究では、以下の事項に関する成果をあげた。(1) 大質量星の重力崩壊では、一般相対論的重力や相対論的流体力学といった巨視的物理過程、および高密度核物質の状態方程式、電子捕獲反応、ニュートリノ生成・冷却といった微視的物理過程の両方が重要となる。これに対し、従来の多次元数値相対論シミュレーションでは、後者の微視的過程の取扱いが不十分であった。上記微視的物理過程を組み入れた多次元数値相対論シミュレーションコードを世界に先駆けて完成させた。(2) 大質量星の重力崩壊によって中性子星が形成される場合の数値相対論シミュレーションを行い、コア及び中性子星の動的・熱的構造、放出されるニュートリノの光度、ニュートリノ放射によって駆動される対流現象、対流からの重力波、の計算を行った。定量的な一般相対論的重力の効果を除いて、過去のニュートン重力理論に基づく研究と欲一致した結果を得た。以上の結果は、論文にまとめて査読論文誌に投稿済みである。(3) 高速回転する種族III星コアの重力崩壊によって、回転するブラックホールとそれを取り巻く降着円盤が形成される過程を、微視的物理過程を考慮した数値相対論シミュレーションによって明かにした。種族III星コアのエントロピーは通常の大質量星コアのエントロピーよりも高いため、ニュートリノ光度にして10~100倍もの多量のニュートリノが放出されることが明らかとなった。これは、ニュートリノをエネルギー源とするガンマ線バースト中心動力源モデルにとって、通常の場合の100~10000倍ものエネルギーが生成される可能性があることを意味する。以上の結果は国際会議等で発表済みである。
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Proceedings of the 18^<th> Workshop on General relativity and Gravitation in Japan 18(Online article)