研究概要 |
現有の超高真空対応STM/MBE装置を用い「FePt(001)規則合金薄膜清浄表面の作製とそのSTM観察」についての研究を本年度行なった。昨年度まで研究で400℃以上のアニールによって原子レベルで平坦なテラスが形成され、その試料のラインプロファイルから単原子層の高さを調べた結果、2つの異なる高さ:2.10(±0.15)Å、1.70(±0.15)Åの2種類が観測され、両者の和は3.80Åであり、この値はFePt L_<10>規則相のc軸格子定数と一致することを報告した。本年度は成長条件を改善することにより、さらに試料の清浄度と平坦性向上を目指し、昨年度見出した2つの異なる原子層高さの起源を探るために、STMを用いたバリアハイト(仕事関数)像の測定を試みた。STM/AES観察は超高真空下(<5×10^<-11> Torr)・室温で、W探針を用いて定電流モードで行った。 異なる2種類の原子層ステップの起源として、最表面がFe層またはPt層であることが考えられる。同時に観測した形状像とdI/dZ(BH)像を比較した結果、平坦なテラス上にも2つの異なるシグナルが観察されていることが分かった。同時に観測したdI/dZ(BH)、電流像を解析することにより、求めた仕事関数の大きさは3.5±0.2,3.0±0.2eVであった。これらはラインプロファイルから2つの異なる単原子層の高さが観測されていることと相関しているとか考えられるが、現在これらの解釈を検討しているとともに、今後はこれらを明瞭に検証する実験を計画している
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