研究概要 |
これまでに,金を担持させた酸化チタン(Au-TiO_2)による反応の作用スペクトルがAu-TiO_2の拡散反射スペクトルとほぼ一致することを確認している.これに矛盾しない反応機構として,(1)電子注入機構:SPR励起した金粒子から酸化チタンに注入された電子が酸素を還元/電子欠損金粒子が有機物を酸化,(2)熱触媒機構:SPR吸収した金の脱励起過程で発生する熱により,金の触媒作用が発現,あるいは,(3)ホットスポットによる多光子吸収:SPR吸収した金粒子の増強電場により,酸化チタンが2光子吸収して生じる励起電子-正孔による酸化還元反応,が挙げられる.伝導帯位置が高いシリカに金を担持させても反応がほとんど進行しないことから(1)が支持されるともに(2)の可能性が低いことが示唆された.ただし,シリカでは酸化チタンのような光析出法が利用できないため,金の分散状態が異なるため活性が低かったという可能性も否定できない.(1)の機構で注入された電子を光音響分光法により観測することを試みたが,金粒子による光散乱が大きいためか,現在のところ確認には成功していない.一方,比較的大きな金粒子を担持させたマイクロメートルサイズの酸化チタン粉末に,十数ナノメートルのサイズの小粒径の酸化チタンをさらに担持させたときに,それぞれの酸化チタンに金を担持させたものを大きく上回る光触媒活性(2-プロパノールの酸化)が見られ,粒径が異なる酸化チタンの共存による相乗効果が観測された.これが(3)の機構によるものかどうかを検討中である.
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