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2009 年度 実績報告書

金属ナノ構造の光学応答の定量解析と設計

公募研究

研究領域光―分子強結合反応場の創成
研究課題/領域番号 21020011
研究機関東京大学

研究代表者

田丸 博晴  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (30292767)

キーワードナノオプティクス / ナノ材料 / 微小共振器
研究概要

微細な構造に伴う光近接場は、物質中の電荷が本来伴っている近接場電磁場が、構造の境界の制約によってあらわになるものであって、空間の各点におけるその強度は境界の幾何学的形状に依存する。一方で、光を含む交流電磁場の近接場を発生させるには、系の外部より伝搬波の形でエネルギーを注入する必要があり、この効率が全体の強度となって現れる。金属は伝導電子の性質として、形成する近接場(縦電場)の面でも、伝搬光との相互作用(横電場)の面でも有利であり、強いエネルギー局在を発生させることができる。孤立系に対し光の周波数でこのようなエネルギー局在を設計する場合、一般的には上述の要素に加えて、縦電場を通じた構造共鳴を導入してさらなる増強をはかる。以上のように状況を整理すると、構造の形状は3つの機能(外部からのエネルギーを受けるアンテナ、それを蓄える共鳴体、圧縮する局所構造)を同時に果たすが、これらは独立には設計できないなめ、電場増強度などを主な指標として経験的な開拓が進められてきた。そこで得られた知見は、理想的な構造から遠からずであろうと考えられるが、ナノスケールの電磁場で起こっている現象を工学的に解析・設計するモデルが必要であると考え、考察・検討を進めた。現状ではまだ非常に荒削りだが、2つの要素が重要であると考えられることが分った。1つは、これらの系の振る舞いでは、電子であるか光であるかという担体の区別よりも、それが共鳴体として振舞っているか伝搬波として振舞っているかという状態の区別のほうが重要そうであるということである(共鳴子-伝搬子)。そこで共鳴子と共鳴子が伝搬子を通して通信しているといった描像をもとに検討をすすめた。もう1つは、元来は波動が主な関心事であったため、共鳴子の影響を伝播子に繰り込む形でモデルが整理されてきたと考えることができるが、近接場が主役となる場面では、むしろ共鳴子に伝搬子の効果を繰り込むことが重要そうであるということが分った。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Quantitative evaluation of electromagnetic enhancement in surface-enhanced resonance Raman scattering from plasmonic properties and morphologies of individual Ag nanostructures2010

    • 著者名/発表者名
      吉田健一, 他
    • 雑誌名

      Phys.Rev.B 81

      ページ: 115406/1-9

    • 査読あり
  • [学会発表] 金属表面のナノ構造による光学応答2010

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 学会等名
      第57回 応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      東海大学(平塚)
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] 金属ナノ構造のプラズマ共鳴光相互作用とその数値解析2010

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 学会等名
      第7回 先端光量子科学アライアンスセミナー「ナノフォトニクスシンポジウム」
    • 発表場所
      慶応義塾大学(横浜)
    • 年月日
      2010-03-15
  • [学会発表] Experimental Verification of a SERS Two-Fold Electromagnetic Enhancement Model2009

    • 著者名/発表者名
      伊藤民武, 他
    • 学会等名
      日本分光学会 International Symposium on "Application of Spectroscopy to Research and Development"
    • 発表場所
      東京工業大学(東京)
    • 年月日
      2009-11-18
  • [学会発表] FDTD計算の誤差と巨視的電磁気学における段差の効果2009

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 学会等名
      日本光学会ナノオプティクス研究グループ第18回研究討論会
    • 発表場所
      京都大学(京都)
    • 年月日
      2009-07-24
  • [学会発表] FDTD法を用いた表面増強共鳴ラマン散乱(SERRS)電磁場増強理論の定量的検証2009

    • 著者名/発表者名
      伊藤民武, 他
    • 学会等名
      日本光学会ナノオプティクス研究グループ第18回研究討論会
    • 発表場所
      京都大学(京都)
    • 年月日
      2009-07-23
  • [学会発表] 巨視的表面構造による光学応答2009

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 学会等名
      第6回AMO討論会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪)
    • 年月日
      2009-06-12
  • [学会発表] Effect of stepped surface in FDTD simulations of plasmonic system2009

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 学会等名
      Nanophotonics and Meta-Materials 2009(International Conference on Nanophotnics and Meta-Materials)
    • 発表場所
      台北(台湾)
    • 年月日
      2009-04-30
  • [図書] プラズモンナノ材料の最新技術(山田淳 編)第1章第2節 プラズモニックナノ構造の光学特性2009

    • 著者名/発表者名
      田丸博晴
    • 総ページ数
      全305担当27-38
    • 出版者
      CMC出版

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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