研究概要 |
ガラス基板上での金の蒸着膜(厚さ5nm)を大気中で18日間放置したところ,見た目にも顕著な色の変化が観察された。これを独自に開発した可視MAIR分光法(MAIRS)でスペクトルを測定したところ,膜面に平行(IP)および垂直(OP)な遷移モーメントをとらえた2つのスペクトルが,互いに大きく異なるスペクトル変化を与えた。従来の可視吸光分光法でとらえられるのはMAIRS-IPスペクトルに相当するもののみで,MAIRS-OPスペクトルに現れた等吸収点はきわめて印象の強いものであった。これを解析するため,AFMによる膜表面の表面トポグラフィーの変化を観察した結果,放置した18日間に金原子が動いて粒子径と粒子間距離が大きく変化したことがわかった。これにより,プラズモンの粒子間相互作用が双極子型から四重極子型へ変化する過程がMAIRSスペクトルでとらえられることなどが明らかとなった。
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