研究概要 |
金ナノ粒子の表面プラズモン吸収により酸化チタンへの電子移動が生じ,太陽光エネルギーを化学反応に用いることで、水を分解し水素燃料を製造することが期待されている。そこで、粒子系において、表面プラズモン吸収による半導体への電荷移動を観測し,効率のよい電荷分離の条件を探索することにより、光触媒系の設計への応用の可能性をさぐることを目的として研究を行った。ESR測定から,金微粒子を担持した酸化チタン微粒子において、プラズモン励起による金-酸化チタン間の電荷移動は金と酸化チタンの界面の電子的な接合状態に大きく依存することを見出した。すなわち、可視光を照射しプラズモン励起により酸化チタンに生じるラジカルを低温77KにおいてESR測定することで、プラズモン励起により、金微粒子から酸化チタンへの電子移動が生じ、酸化チタン上の捕捉電子の信号が増加することを観察した。これたは逆に、熱処理等により、可視光照射により酸化チタンの正孔が増加し、酸化チタンから電子が出て行く場合があることを見出した。また,一重項酸素の検出を試みたところ、金微粒子担持酸化チタンの室温懸濁系において、532nm励起により一重項酸素の1270nmの発光が検出された。このことは、酸素分子の基底三重項状態から励起一重項状態への禁制遷移が、プロズモンの増強場により生じたと考えられる。白金の微粒子を担持した場合には、電荷移動はいつも半導体から金属に生じ、半導体表面では酸化反応のみ生じることを見出した。
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