研究概要 |
粒径数百nmのコロイド粒子が規則的に配列したコロイド結晶を用いると、フォトニックバンドギャップバンド(PBG)の異常分散により位相整合を満たす条件が出現するため、中心対称性を有する物質から成るコロイド粒子の表面SHGが増強されることが報告された^<[3]>。中心対称性のある物質からなるコロイド結晶からのSHGという学術的な興味に加えて、電界印加などの分極処理が不要となるためSHGデバイスの応用範囲が大きく広がることが期待され、コロイド結晶は新たな波長変換素子として注目されている。しかし、これまでに作製されたコロイド結晶は無修飾または低濃度の非線形光学色素を吸着させたSHG活性の低いコロイド粒子から成る多結晶であり、変換効率も5×10^<-13>と従来の材料に比べて低い値にとどまっている。したがって、SHG活性の高いコロイド粒子を用いることで更なる高効率化が期待できると考えられる。本研究では高い分極率を持つ非線形光学色素や表面プラズモン共鳴によるSHG増強効果が期待される金ナノ粒子による表面修飾によってSHG活性の高いコロイド粒子を合成し、そのコロイドから成るコロイド結晶を作製することによって、SHGの高効率化を目指した。その結果、Crystal violet,金ナノ粒子でコロイドの修飾を行うことにより、最大で13倍SHG活性の高い粒子の合成に成功した。また、フローセルを用いることにより、質の高い単結晶性のコロイド結晶の作製に成功した。作製したコロイド結晶がらはSHGの増強が確認され、変換効率は1.8×10^<-19>であった。
|