研究概要 |
本研究では,貴金属ナノ構造の局在プラズモンを利用した,光と強結合する無機ハイブリッドナノ構造を創製する。この背景には,申請者がこれまで行った以下の研究内容が関係する。すなわち,single-molecule-Ramanに相当する分子数1-4個のラマンスペクトル測定を可能にした,巨大な表面増強効果をもつ金ナノ構造体を創製した。この増強効果をシリコンナノ結晶の発光の強度増加に活用する。高効率で紫外~光の三原色領域で発光するシリコンナノ結晶の波及効果は大きく,ICチップへのシリコンフルカラー発光デバイスの搭載や,生体に優しいバイオマーカー(量子ドット)としての利用がある。それらの実現には,発光効率の増加が重要である。 本年度は,金とシリコンのレーザーアブレーションで生成した生成物の光物性測定,構造解析を主に行った。その結果,金においてはラマンスペクトルの増強が10^9とワールドレコードクラスの増強度の金ナノ構造体が得られた。シリコンでは,流体の種類を変えて実験を行い,生成物の形状,電子状態が異なることが明かとなった。また,金を使いシリコンの発光増強も初めて観測された。
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