研究領域 | 光―分子強結合反応場の創成 |
研究課題/領域番号 |
21020034
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
尾崎 幸洋 関西学院大学, 理工学部, 教授 (00147290)
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研究分担者 |
北濱 康孝 (独)産業技術総合研究所, 健康工学研究センター, テクニカルスタッフ (00342775)
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キーワード | 表面増強ラマン散乱(SERS) / 局在表面プラズモン共鳴(LSPR) / レーザートラップ / 銀ナノ微粒子凝集体 / 色素分子会合体 / チアカルボシアニン / 共鳴ラマン / 偏光依存性 |
研究概要 |
チアカルボシアニン色素分子の置換基のわずかな違いによる立体障害で、梯子状および階段状に分子が整列したHおよびJ会合体を作り分けて、表面増強ラマン散乱(SERS)スペクトルを比較したところ、H会合体のSERSスペクトルはJ会合体に比べて減衰が速いことが判った。これは、階段状のJ会合体は分子平面全体が銀表面に吸着しているのに対して、梯子状のH会合体では分子の縁のみが銀表面に吸着し不安定なためではないかと考えられる。メチルチアカルボシアニンの場合、単一銀ナノ微粒子凝集体からのSERSの減衰速度が三種類の値を示したが、これは単一会合体の配向の違いによると考えられる。すなわち、銀表面に対してH会合体が垂直あるいは平行に配向した場合とJ会合体が平行に配向した場合である。 また、アニオン性色素分子は銀表面との静電反発によりSERS測定が困難であったが、数十μmの長さのアニオン性チアカルボシアニンH会合体を光トラップすると共に、焦点位置に銀ナノ微粒子も光トラップして凝集させることで、SERSの測定に成功した。 後者に関しては、H会合体がシングルモード光ファイバーとして応用できることが報告されており、有機光学材料と金属ナノ構造体を組み合わせた新たなデバイスに繋がることも期待される成果である。また前者は、その複合プラズモニクスデバイス作製の際に生じ得る問題解決のための知見という意義がある。
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