研究概要 |
幾つかの電場増強ナノ構造体を用いて,以下の研究成果を得た。 1. 電場増強ナノ物質のヤング率がサイズによってどの様に変わるのかを明らかにするために,アスペクト比はほぼ同じ4で短軸の異なった金ナノロッド(短軸長さ5nm,15nm)を入手し,近赤外過渡吸収分光法により解析した。特に,励起光強度依存性および励起するモード依存性(縦モード,横モードに関する励起波長依存性)を詳細に調べた結果, コヒーレント音響フォノンの振動周期は各々25ps(5nm幅),80ps(15nm幅)と異なるが,ヤング率はほぼ同じであり,結晶の主軸方向が[100]方向であるとすればバルクと大差ないことがわかった。 2. プラズモン同士のカップリングがある場合に,コヒーレント音響フォノンがどの様な影響を受けるのか,テンプレート法によって作製した貴金属ナノ構造体(ナノリボン等),および電子ビームリソグラフィーで作製したギャップ構造を持つ金ナノプレート(北大・ 三澤教授)を用い,顕微分光を含む近赤外過渡吸収分光法によりギャップの関数としてコヒーレント音響フォノンを解析した。その結果,プラズモン吸収バンドはナノプレートペアのギャップ間隔が狭くなると共に長波長シフトし,ギャップ間隔に対してスケーリング則が成立することがわかったが,コヒーレント音響フォノンの振動周期は,ギャップに依存せず単一の金ナノプレートとほぼ同じであり形状のみに依存すること,2種類の振動周期が観測されること,等が明らかになった。また,金-銀コアシェルナノ構造体(九大・ 新留准教授)において,シェルの厚みがコヒーレント音響フォノンにどの様な影響を及ぼすのか,詳細な解析を行った。
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