本研究では、光-分子強結合反応場の光化学反応効率を定量的に捉えるツールを開発し、光-分子強結合反応場を直接実証することを目的とする。本提案実施により、光と分子のエネルギー交換が飛躍的に向上できる二とを定量的に示す。具体的な成果は以下の通り。 (1) 専用流体デバイスの試作:専用流体デバイスは、物質・材料研究機構内ナノファウンドリー施設及び産業技術総合研究所インプリント製造技術研究グループの協力により試作した。μ流体デバイス中の流路の型は、4インチシリコン基板をフォトリソグラフィーとドライエッチングで製造し、更にニッケル鋳造により金型を作製した。この金型を使って約300度で樹脂ヘインプリントを行い流体デバイスを作製した。基板は石英ガラスを用いて、溝構造を上部から封じる形で管構造にした。 (2) 光-分子強結合反応場の直接実証:専用流体デバイスを用いる前の試行実験として、金ナノ粒子配列の有無により、アントラセン単量体から光化学反応によりアントラセン2量体を合成する光環化付加反応の加速が起きるかどうかを確かめた。NMR測定によりアントラセン2量体の光環化付加反応の進行を定量的に解析した結果、金ナノ粒子単体よりも配列の方が加速効果が大きいことが実証できた。
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