公募研究
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、病院内で免疫能が低下したヒトに対して抗生物質による治療が困難な日和見感染症を引きおこす。このような病院内の入院患者が感染するMRSAは、HA-MRSA (Hospital associated MRSA)と呼ばれる。これに対して、病原性の強いCA-MRSA (Community acquired MRSA)と呼ばれるMRSAによる病院外での感染者が出現し、問題となっている。なぜ、CA-MRSAが強い病原性を示すのかについては理解されていない。MRSAは黄色ブドウ球菌がSCCmecと呼ばれる外来遺伝子領域を獲得して生じる。SCCmec領域にはmecAと呼ばれるメチシリン耐性を引き起こす遺伝子の他、いくつかの遺伝子が存在している。我々はCA-MRSAとHA-MRSAのSCCmec領域の構造が異なっていることに注目した。すなわち、CA-MRSAのSCCmec領域には、我々がF領域と呼んでいる、HA-MRSAには存在し、菌の病原性を抑制する機能を果たす領域が欠けている。本研究課題で我々はF領域がコードする細胞溶解毒素遺伝子psm-mecの転写産物と翻訳産物の両者がMRSAの病原性を抑える機能を有していることを明らかにした。この成果は、CA-MRSAの高い病原性に対して、分子レベルでの説明を与え、CA-MRSA感染症克服のための方法を確立する上に貢献すると期待される。
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http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~bisei/index.html