C型肝炎ウイルス(HCV)粒子を構成するコア蛋白質は宿主由来のプロテアーゼによって切断されて成熟してウイルス粒子を形成するが、一部は核に移行してプロテアソーム調節蛋白質PA28γ依存的に分解される。コア蛋白質を発現するマウスは、C型肝炎患者で観察される2型糖尿病や肝細胞癌を発症するが、このマウスからPA28γ遺伝子を欠損させるとこれらの病態は全て消失する。本研究では、PA28γのウイルス粒子産生における役割を検討した。PA28γの発現を抑制するとコア蛋白質のユビキチン化が促進されウイルス産生は低下した。さらに、PA28γはプロテアソームのトリプシン様活性を促進するが、その機能を欠損させたPA28γ変異体は、PA28γの発現抑制により低下したウイルス産生を回復させる事が出来なかった。以上の成績から、コア蛋白質が核に移行し、PA28γと相互作用することは、HCVの病原性発現だけでなく、ウイルス粒子の産生を正に制御していることが明らかとなった。
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