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2010 年度 実績報告書

マラリア原虫人工染色体を用いたvar遺伝子の相互排他的転写制御機構の解明

公募研究

研究領域感染現象のマトリックス
研究課題/領域番号 21022032
研究機関三重大学

研究代表者

岩永 史朗  三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20314510)

キーワードマラリア / 人工染色体 / 転写制御
研究概要

熱帯熱マラリア原虫の免疫回避に関わる中心分子は感染赤血球表面抗原であるvar遺伝子産物である。原虫は59個のvar遺伝子を持ち、1個のvar遺伝子が転写されると排他的に残り58個の転写を全て抑制する(相互排他的転写制御)。これにより、原虫は宿主免疫による攻撃を受けると、var遺伝子の転写を抗原性が異なる別のvar遺伝子へ切り替え、免疫を回避している。本研究では独自に作製したマラリア原虫人工染色体を用い、相互排他的転写制御を実験モデル化し、その解明の糸口を得ることを試みた。まず、bir遺伝子の転写制御機構へのクロマチンの修飾の関与を検討するためにbir遺伝子が存在するsubtelomeric regionのhistone H3の修飾についてChIP-seq法により調べた。その結果、テロメア末端からsubtelomeric region含む領域中のhistone H3の第9番Lys残基(H3K9)が高度にトリメチル化されていることが明らかとなり、bir遺伝子の転写はH3K9の修飾によるヘテロクロマチン形成によって抑制されている可能性が示唆された。次に実験に使用する人工染色体のテロメアの機能について検討した結果、ヘテロクロマチン形成を伴う末端長の制御が示され、人工染色体のテロメア近傍も実際の染色体のテロメアと同様にクロマチンの修飾を受けることが示唆された。続いて特定のbir遺伝子が優位に発現していることをクローン化した原虫のマイクロアレイ解析によって検討した。その結果、複数のbir遺伝子の内、数種のbir遺伝子が優位に発現していることを示唆する結果を得た。さらに、優位に発現していたbir遺伝子は単一の染色体末端止に存在しており、染色体末端単位でその発現が制御されている可能性が示唆された。さらにマイクロアレイで検出した優位に発現しているbir遺伝子の5'-および3'-UTRを人工染色体に組み込み、その転写活性をGFPの発現を指標に検討した結果、両者を組込んだ人工染色体を持つ原虫においてGFPの発現に差が見られた。この結果より、bir遺伝子の相互排他的転写制御には5'-および3'-UTRが関与することが推察された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [学会発表] dentification of Transcription factor of Malaria Sporozoite.2010

    • 著者名/発表者名
      Shiroh Iwanaga
    • 学会等名
      The 10^<th> Awaji International Forum on Infection and Immunity
    • 発表場所
      Awaji, Hyogo, Japan(招待講演)
    • 年月日
      2010-09-12
  • [産業財産権] マラリア原虫人工染色体を用いた薬剤耐性遺伝子の迅速同定法および組換えマラリア原虫作製法2011

    • 発明者名
      岩永史朗・金子伊澄・油田正夫
    • 権利者名
      三重大学
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2011/001781
    • 出願年月日
      2011-03-26
    • 外国

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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