研究概要 |
1) 結核感染防御機構 結核菌の細胞壁成分であるTrehalose-6, 6'-dimycolate(TDM;コードファクター)の宿主レセプターがmacrophage inducible C-type lectin(Mincle)であることを世界で初めて見いだした.Mincle欠損マウス由来のマクロファージはTDMの刺激に対して炎症性サイトカインやNOの産生が減弱した。さらにTDMをMincle欠損マウスに投与しても肉芽腫の形成がみられなかった.結核菌を気道内に感染させると、Mincle欠損マウスで有意に肺での菌数が増加していた。以上の結果からMincleは結核菌の糖脂質を認識するパタンー認識レセプターの一つであり、結核感染防御に重要な役割をになうことが明らかとなった。 2) 結核感染制御機構 インターロイキン15(IL-15)はエフェクターCD8T細胞の活性化誘導死を阻害してメモリーCD8T細胞の産生を促進することをリステリア細菌感染症モデルで明らかにしている。今回、BCGワクチンを接種して21日目から40日目にレコンビナントIL-15を投与することでメモリーCD8T細胞の産生を検討した。IL-15投与後の結核菌由来の抗原ペプチドTB-2およびMPT-64特異的CD8T細胞数は非投与群に比べで有意に多がった。BCG/IL-15免疫マウスで、M.tuberculosisの気道感染後の肺での菌数は、BCG免疫マウスに比べて有意差は認められなかった。以上の結果よりBCGワクチン投与後の収縮期でのIL-15の投与はマイコバクテリア抗原特的メモリーCD8+T細胞を有意に増加させたが、強い結核防御を誘導することにはまだ不十分であると考えられた。
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