マラリア原虫の受精制御因子であるGCS1は、マラリア原虫の雄側にとって必須な受精制御因子である。GCS1はマラリア原虫のみならずアメーバ、藻類や他の感染性微生物など多岐にわたる生物において保存されている、現状では唯一知られている受精制御共通因子である。本年度は、雌雄の受精制御因子のさらなる探索を試みた。ネズミマラリア原虫のマイクロアレイデータから性特異的に発現している遺伝子群を54個ピックアップし、個々の遺伝子を欠損した原虫を作成した。現在、これらノックアウト原虫をクローン化、クローンの受精能を解析中であるが、現時点で以下の事を明らかにしつつある。 1)受精能が10%以下まで低下するフェノタイプを示す遺伝子(メス特異的に発現)を見いだした。 2)オスの性成熟(鞭毛放出)および蚊からマウスへの感染性に関わる原因遺伝子さらに解析を進め、特にメス側の受精因子に関してはGCS1との関係を明らかにすることで、マラリア原虫のみならず生物全体の受精現象をGCS1を切り口として明らかにしていく。 3)GCS1の機能解析の一環としてGCS1各種欠損原虫株を作成、それらの受精能を検証した結果、受精に必須ではない領域、および必須な領域をそれぞれ同定した。
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