研究領域 | 感染現象のマトリックス |
研究課題/領域番号 |
21022054
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
小原 道法 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10250218)
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研究分担者 |
関口 敏 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10462780)
安井 文彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40399473)
平田 雄一 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (50439452)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 持続感染 / 免疫応答 / 慢性炎症 / 間発がん |
研究概要 |
C型肝炎は日本で200万人に及ぶ患者がおり、唯一の有効な抗HCV薬とされているインターフェロンは、30-40%程度の患者にしか治療効果が認められず、病態の進行した患者や高齢者には適用できないことから、より安全で効果的な治療法の開発が急務となっている。我々はより効果的に宿主の免疫応答を惹起する目的で、哺乳動物細胞において複製可能な弱毒ワクチニアウイルス「LC16m8株」を母体としたHCV遺伝子組換えワクチニアウイルス(HCV-rVV)株を作製した。HCV-rVVはHCVの構造蛋白質を主に発現するrVV-CN2、非構造蛋白質を発現するrVV-N25、全蛋白質を発現するrVV-CN5を用いた。これらHCV-rVVの治療効果を評価するために、HCV蛋白を持続的に発現した慢性肝炎状態のCre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスに単回皮内接種し、接種後1週および4週のマウス肝臓におけるHCV蛋白の発現量と形態学的、生化学的および免疫学的検索を行った。接種後1週目ではHCV蛋白発現量に変化はみられなかったものの、rVV-N25群の肝臓において壊死性細胞浸潤、肝細胞索の乱れ、肝細胞の膨化、グリコーゲン変性および脂肪変性といった慢性肝炎の病態の正常化が認められた。血清中の炎症性サイトカインの変化を経時的にみると、接種後6~7日目で上昇していた炎症性サイトカインレベルがrVV-N25群では正常マウスレベルにまで戻っていたことがわかった。さらに、4週目のrVV-N25接種群では形態異常の正常化に加え、肝臓内のHCV蛋白の減少がみられた。rVV-N25接種によるHCV蛋白の制御には細胞死を伴わない何らかの蛋白排除機構が働いていることが示唆された。
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