• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

ヘルペスウイルスゲノムの複製転写調節機構と宿主細胞機能の利用

公募研究

研究領域感染現象のマトリックス
研究課題/領域番号 21022055
研究機関愛知県がんセンター(研究所)

研究代表者

鶴見 達也  愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 部長 (90172072)

キーワードEBV / 複製 / スモ化 / 再活性化 / 相同組替え修復 / ミスマッチ修復
研究概要

ウイルス増殖と宿主細胞との相互関係の研究をさらに発展させるため、本研究ではヘルペスウイルス潜伏感染から産生感染への切替え、ウイルス増殖(複製と転写)の場の構造について、EBウイルスを中心に研究を進めた。
(1)EBV潜伏感染からウイルス産生感染への切替えの分子機構: EBウイルスの潜伏感染からウイルス産生感染への再活性化に注目し、この中でBZLF1のSUMO化修飾について解析した。BZLF1はウイルスの初期遺伝子の転写を活性化することでウイルスの再活性化を強力に促進する。我々はレポーターアッセイにより、K12R変異を導入したSUMO化されないBZLF1は、野生型のBZLF1よりも有為に強い転写活性能をもつことを見いだした。また、BZLF1のSUMOは、SENPとよばれる脱SUMO化酵素によって脱修飾された。SENPを強制発現させると、BZLF1の転写活性化能が増強した。SUMO化されていないBZLF1はCBPと強く相互作用し、HDACとの結合はほとんどみられなかったのに対し、SUMO化されたBZLF1はCBPと相互作用しなくなり、HDAC7と相互作用するようになった。以上からBZLF1はSUMO化されることによりその転写活性が抑制されるということが明らかになった。
(2)ウイルス複製工場(RC)の構造解析: EBV感染細胞では溶解感染を誘導すると、Replication Compartment(RC)と呼ばれる核の局在した部位でウイルスゲノムの複製・転写が起きる。今回、我々はRC内のどこでウイルスゲノムの複製が行われ、その後どこに移動するのか等RC内のマッピングを行った。共焦点顕微鏡で得られた画像を元に3次元構築を行った結果、RCには、BMRF1-richな構造物(core)が存在することを明らかにした。また、EBVゲノムの標識を行った結果、新しく合成された直後のEBVゲノムはcoreの外側にも存在するが、その後時間の経過とともにcore内部に移動することがわかった。さらに、我々は以前RCには、Homologous Recombinational Repair(HRR)およびMismatch repair(MMR)に関与する蛋白質がリクルートされることを示したが(Kudoh et al J.Virol.2009, Daikoku et al J.Bio Chem.2006)、HRRはcoreの外側に、MMRはcoreの内部に存在することがわかった。
ウイルスゲノム複製と相同組み換えは同時に起こり、その後複製中間体はcore内部に移動し、そこでMMRがミスマッチ部位のサーチングを行っていると考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Noise Cancellation : Viral Fine Tuning of the Cellular Environment for its Own Genome Replication.2010

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, et al.
    • 雑誌名

      PLos Pathog.

      巻: 6 ページ: e1001158

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tetrameric Ring Formation of EBV Polymerase Processivity Factor is Crucial for Viral Replication.2010

    • 著者名/発表者名
      Nakayama S, et al.
    • 雑誌名

      J.Virol.

      巻: 84 ページ: 12589-12598

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ranscriptional repression by sumoylation of Epstein-Barr virus BZLF1 protein correlates with association of histone deacetylase.2010

    • 著者名/発表者名
      Murata T, et al
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem.

      巻: 285 ページ: 23925-23935

    • 査読あり
  • [学会発表] Tail to tail contact for tetrameric ring formation of EBV BMRF1 is crucial for viral replication.2010

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Tsurumi
    • 学会等名
      EMBO Meeting 2010
    • 発表場所
      Palau de Congressos de Catalunya (Spain)
    • 年月日
      2010-09-05
  • [備考]

    • URL

      http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/400/420/421/421-06.html

  • [産業財産権] 弱毒ヒトサイトメガロウイルス及びそのワクチンとしての使用2011

    • 発明者名
      鶴見達也, 磯村寛樹
    • 権利者名
      愛知県
    • 産業財産権番号
      特願2011-14548
    • 出願年月日
      2011-01-26

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi