研究概要 |
全くユニークなメカニズムである,マイコプラズマの滑走運動における,"あし"の動きを明らかにするために,以下の研究を行った.(1)遊離のシアル酸を加えることで滑走時のあしの数を減らし,粘度をあげて熱ゆらぎを抑えることで,あしの最小単位の動きを細胞の動きに反映することに成功した.(2)細胞を高輝度の蛍光ビーズでラベルして,高速度カメラで撮影することで,最小単位の動きを詳細に解析した.(3)低濃度の界面活性剤で細胞を処理することで,細胞が細長く変化することを見いだした.この状態での滑走運動から,横に並んだあしの動きが同一の位相で動いているのではないことを示した.(4)滑走装置を菌体から遊離させ,単離することに成功した.(5)滑走装置を構成する3つのタンパク質,Gli123,Gli349,Gli521をネガティブ染色電子顕微鏡法で観察することにより,高解像度のイメージを得た.(6)16種類の合成シアル酸化合物を用いて,滑走における直接の結合対象の化学構造を明らかにした.(7)滑走装置のいろんな部分に特異的に結合する人工抗体を40個単離した.(8)単離したあしタンパク質のシアル酸結合活性を,原子間力顕微鏡を用いて測定した.
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