研究領域 | 植物の生殖におけるゲノム障壁成果分析 |
研究課題/領域番号 |
21024009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村中 俊哉 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60342862)
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研究分担者 |
永田 典子 日本女子大学, 理学部, 准教授 (40311352)
鈴木 優志 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能統合化研究チーム, 研究員 (30342801)
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キーワード | ステロール / シロイヌナズナ / 雄性不稔 / ブラシノライド / 遺伝子破壊 / メタボローム / トランスクリプトーム |
研究概要 |
雄性配偶体には、脂質としてさまざまなステロールが含まれているが、配偶体形成におけるステロールの機能についてこれまでほとんど知られていなかった。本研究では、ステロール代謝系の欠損が、生殖に及ぼす影響の全貌を明らかにすることを目的に、ステロール合成に関わる変異体を体系的に取得し、植物ステロール代謝系の雄性配偶体形成における機能解明を目指している。 これまでにhmg1 hmg2の二重変異体およびcas1において、ステロール合成系の完全遮断は雄性配偶体致死になることを示した。しかし、1遺伝子でコードされているPMK、最近機能的遺伝子は1つであることが報告されたSQS1の欠損変異体である、pmkおよびsqs1両変異体の雄性配偶体は著しく発達が損なわれているものの完全な致死ではなかった。両変異体とも、生存した花粉が受粉してもその後の発生が順調に進むことはなく胚致死になることがわかった。さらにエコタイプコロンビアのホモ個体について、過程I(14変異体)、過程II(3変異体)、過程III(2変異体)を選び、脂質解析を行った。その結果、総ステロール量が低下するhmg1で糖脂質組成の変化が見いだされた。一方、雄性配偶体内外におけるステロール代謝系物質の特定とその脂質系構造物の形成メカニズムを知る上で、微細形態学的なアプローチは大変有用である。ステロール欠損変異体の代表としてhmg1変異体を、スポロポレニン合成に関わる脂肪酸水酸化酵素欠損変異体(cyp704b2)およびワックス欠損変異体(cer1)と比較観察した。この過程で、スポロポレニン由来顆粒とその輸送経路、ポーレンコート沈着に果たすワックスの機能、ステロールとエライオプラスト形態の関係等に関する新しい知見を得た。生合成産物である脂質と脂質系オルガネラ構造の関係やミクロレベルでの脂質機能を推定することができた。
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