特定領域研究「植物の生殖過程におけるゲノム障壁」では、「ゲノム障壁」機構を分子レベルで解明することを目的としている。その手段の1つとして、全ゲノム解読が終了したイネをモデルとして生殖に関わるステージや器官に対する大規模なマイクロアレイ実験を実施し、生殖関連遺伝子とそれらの生物学的機能を同定することを目標としている。この目標を達成するためには、イネ遺伝子の発現情報や機能アノテーション情報を網羅的に探索する必要がある。そこで、本研究課題では、ゲノム・ワイドな遺伝子情報を効率的に探索するために、WebデータベースOryzaExpresの構築・運営を進めている。今年度は、特に、大規模マイクロアレイ・データから推定した生殖関連遺伝子の共発現ネットワーク解析と遺伝子の機能アノテーション解析を行い、得られた結果をOryzaExpressから提供した。そのために、まず、公開データベースNCBI GEOより収集したマイクロアレイ実験データを正規化し、遺伝子間の発現パターンの類似性を評価した。ここで、遺伝子の発現パターンの類似性を簡便に把握するためには、ネットワーク・グラフを用いた視覚化を要する。そこで、ネットワーク・グラフによる視覚化および遺伝子の機能アノテーションの出力が可能なWebインターフェースの構築を行った。ユーザーは、OryzaExpressに搭載したネットワーク・グラフによって、発現パターンが類似する遺伝子群を簡便に閲覧・探索できる。
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