研究概要 |
26Sプロテアソームは,高等植物が持つ優れた環境適応能力を説明するための分子機構候補として注目を浴びている。申請者らは,モデル植物シロイヌナズナを用いて,19Sプロテアソームを構成するサブユニットRPT2aの機能欠損変異体(rpt2a)において,葉器官等が巨大化する現象を発見した。その後の研究により,この原因がエンドリデュプリケーションという細胞周期異常に由来する細胞サイズ増大に起因することを明らかにした。本研究課題は,植物プロテアソームの構造変換に着目し,パラログ遺伝子の機能解析,ターゲット分子の探索,量比変動のプロテオーム解析,等を実施した。FLAGタグで標識されたプロテアソームサブユニット形質転換植物を作製し,免疫沈降によるプロテアソーム精製,プロテオーム解析により,環境変動時の各プロテアソームサブユニットにおけるパラログ量比の変動を検討した。エリシター添加によるプロテアソーム依存プロテアーゼ活性の変動がパラログ分子量の変動に起因するとの示唆を得た。現在その定量性・再現性について検討している。また,上記の手法を用いて,プロテアソーム結合因子の存在を明らかにした。いくつかの候補については,共免沈と酵母2成分系を用いて検証した。その多くが葉緑体局在型であり,これについての生理学的研究を進めている。
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