研究概要 |
本研究ではI-CLiPの中でも特にゴルジ体に局在することが明らかになっており研究の進んでいるS2PとRhomboidファミリーのRHBDL1とRHBDL2、またS2Pと協調して機能しているS1Pに注目して、これらの解析を行った。まず、HeLa細胞より調整したcDNAライブラリを鋳型として用い、RT-PCR法によって、S1P, S2P, RHBDL1, RHBDL2のクローニングを試みた。データベースより得た塩基配列を元に設計した適当なプライマーを用いたところ、S1P, S2P, RHBDL2のクローンの取得に成功した。RHBDL1については適当なPCR産物を得ることができなかった。RHBDL1は、神経細胞で強い発現が見られるとの報告があるため、ヒト神経芽腫細胞株であるSH-SY5YからcDNAライブラリを調整し、再度クローニングを試みたが、やはり、相当のクローンを得ることができなかった。従って、その後の解析は、S1P, S2PとRHBDL2についてのみ行うこととした。S1P, S2PとRHBDL2のN末端にHAタグを付加し、ほ乳類動物細胞発現ベクターpcDNA3に組み込んでHeLa細胞にトランスフェクションして発現させた。免疫蛍光染色法で解析したところ、S1PとS2Pは、ゴルジ体に集積することが確認された。RHBDL2は、小胞体及び細胞膜周辺への蓄積が観察された。一方、大腸菌発現ベクターpET28aに組み込んでHisタグ付加タンパク質として発現させ、抗ヒスタグ抗体を用いてウェスタンブロッティングで解析したところ、それぞれのタンパク質の予想分子量付近にバンドを検出した。従って、それぞれの目的産物が適切に発現していることが確認された。来年度は、これらのツールを用いて研究目的の遂行する予定である。
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