公募研究
脂肪滴はリン脂質一重層で覆われ、コアに脂質エステルを有するオルガネラである。肝細胞の脂肪滴はVLDL(very low density lipoprotein)形成に必要な脂質を供給する。我々は先にプロテアソームやオートファジーなどの蛋白質分解経路を阻害すると、脂肪滴のまわりにユビキチン化したApohpoprotein B100(ApoB)が蓄積する特異な構造(ApoB-crescent)が出現することを報告した。ApoB-crescentは小胞体と脂肪滴が融合した構造であり、内腔には脂質付加されたApoBが蓄積していた。これらの結果は、脂肪滴が特殊な蛋白質分解の場として機能していることを示唆した。この分解システムに関与する分子を検索するため、ApoB-crescentを含む脂肪滴を精製し、質量分析法によるプロテオーム解析を行い、UBXドメインをもつ蛋白質を同定した。UBXドメインを含むいくつかの蛋白質は蛋白質分解に関与することが報告されているため、同定した蛋白質が脂肪滴上で同様な働きをしているのではないかと考え、(1)この蛋白質の細胞内分布を免疫蛍光染色と細胞分画を用いたウェスタンブロッティングで検索し、(2)cDNA、siRNAのトランスフェクションによる発現操作により蛋白質分解への関与を検討した。これらの検索により、脂肪滴が蛋白質分解の足場となることを示唆する結果を得ており、現在さらに種々の検討を進めている。
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Biochim. Biophys. Acta. 1791
ページ: 399-407