研究概要 |
calpain 7(別名PalBH)はpenta-EF-handドメインをもたない非典型的カルパインであるが、これまで酵素活性を有するか否か不明であった。N末端側にMicrotubule-interacting and transport(MIT)ドメインを2つもつ特徴を有する。我々はcalpain 7のMITがESCRT-IIIタンパク質と相同性を有するIST1と相互作用することを見出した。IST1のC末端側には2種類のMIT-interacting motif(MIM,MIM1とMIM2)が存在するが、緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合させたcalpain 7の各種変異体ならびにFLAGタグ付加IST1の変異体を用いた免疫沈降実験により、calpain7のMITは2つとも、また、IST1のMIMは両方とも結合に関わっていることが判明した。Glutathione-S-transferase(GST)融合MIMタンパク質およびMITの組換体を大腸菌で発現、精製して試験管内で相互作用を解析した結果、MITとMIMは直接結合することが分かった。一方、GFP-calpain 7はHEK293T細胞に発現させると、抗GFP抗体を用いたウェスタンブロットにより30kDa、45kDa付近にバンドが検出された。活性中心と想定されるCys290をSerに置換した変異体ではそのようなバンドは検出されないため、calpain 7が自己消化を起こしたと考えられ、プロテアーゼ活性を有することが示唆された。
|