COP1は癌抑制蛋白質p53の分解制御に、Cu14複合体はヌクレオチド除去修復とDNA複製のライセンシング制御に重要な働きをするユビキチンリガーゼである。本研究ではこれらの上流で働く調節因子COP9シグナロソーム(CSN)を含めた、COP1-Cul4-CSN制御系に着目し、この制御系の中で、まったく異なったユビキチンリガーゼ間のクロストークを検証し、細胞周期制御とチェックポイント制御における機能の解明を目指した。 COP9シグナロソーム(特に第3サブユニット、CSN3)とCOP1の直接の結合を検証したが認められなかった。そこで、COP1の新規相互作用因子(COP1BP-1)を酵母のツーハイフリッド法を利用して単離した。このうちのひとつ(COPIBP-1)に着目し、抗体を作製し種々の細胞外シグナルに対する応答を検討するなど、詳細に検討を進め、オートファジーとの関連を見いだした。これに関しては現在研究をまとめ、論文投稿中である。 また、COP9シグナロソームの機能を解析する目的で、第5サブユニット(CSN5)の条件ノックアウト細胞を作製し、COP9シグナロソームの機能がCullin-Rin9ユビキチンリガーゼ活性の制御に重要であり、その機能喪失は細胞周期の複数点で阻害が起こる事、細胞質分裂とエンドサイクルに影響を及ぼす事、p53非依存的細胞老化を誘導する事などを見いだし論文としてまとめた。
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