プロテアソームは約70個のサブユニットが分子集合することにより形成された巨大な蛋白質分解酵素複合体であり、各サブユニットが厳密に配置することで非常に高度な機能を獲得し、生体内の様々な調節を行っている。その複合体形成においてDmp1-Dmp2、Pba1-Pba2、Ump1は触媒活性部位を有する20Sプロテァソームの分子集合、Rpn14、Hsm3、Nas2、Nas6は分解すべき標的蛋白質の認識やアンフォールディングの働きを持った19S制御因子複合体の分子集合のための専用のシャペロンタンパク質である。これらプロテアソーム複合体形成シャペロンの作用機構を明らかにすることを目的として、立体構造の決定および機能解析を行った。その結果、20Sプロテアソームの分子集合に働くPba1-Pba2の結晶化に成功した。しかし、Pba1-Pba2は結晶性が悪く立体構造の決定は困難であったことから、さらなる結晶化条件の検討を行っている。また、19S制御因子複合体の分子集合に作用するRpn14の結晶化にも成功し、分解能2.0Aで立体構造を決定した。Rpn14はβプロペラ構造とN末ドメインから形成されており分子表面に特徴的な酸性電荷をもつことを明らかにした。さらに、立体構造を基に変異体を用いた解析を行い、プロテアソームサブユニットの認識に関与する部位を決定し、酵母においてこれらの変異体ではプロテアソームの形成に異常が生じることを示した。
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