ミトコンドリアに存在するMARCH-5はミトコンドリアの形態制御に重要な役割をするE3ユビキチンリガーゼと考えられる。従って、MARCH-5欠損マウスを作成し生理機能の解析を行なった。その結果、MARCH-5欠損マウスは胎生致死であった。従って、MARCH-5の機能解析を行なう為に、MARCH-5のconditional knock-outマウスを作成した。MARCH-5のRINGv domainをコードするエクソンをloxで挟んだマウスを作成し、もう一つのアレルのMARCH-5を欠損させた。さらに、このマウスを、タモキシフェンにてCre組換え酵素が活性化するERT2-Creが発現するマウスと交配した。このマウスは、タモキシラェンの投与によって、MARCH-5が完全に欠損する。個体にタモキシフェンを投与し観察した所、約1週間にて死亡した。現在、この死因を詳細に検討している所である。さらに、このconditional KOマウスの線維芽細胞を培養し、SV40 large T抗原にて不死化した。この不死化した細胞はin vitroのタモキシラェン投与にてMARCH-5を完全に欠損させる事が出来、in vitroにてMARCH-5の機能を詳細に検討する事が出来る。細胞の増殖を観察すると、MARCH-5の欠損にて顕著に細胞増殖が抑制された。さらに、細胞の大きさが増加した。しかしながら、細胞死が顕著に誘導される事は観察されなかった。現在、このシステムを用いてT細胞におけるMARCH-5の機能を追求しつつある。
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