研究概要 |
ユビキチン・プロテアソーム系による選択的タンパク質分解は、様々な生体反応に於いて重要な役割を担っているが、この系において最も重要な分子は、分解を受けるべく標的タンパク質を見分けるユビキチンリガーゼである。その中で最も良く研究されているファミリーのひとつSCF型ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットF-boxタンパク質はヒトでは約70種類存在するがこれらの機能がわかっているものは少ない。本研究は機能未知のF-boxタンパク質の標的分子を同定しその機能を解明することを目的とするものである。本年度は小胞体関連分解において糖鎖を認識してユビキチン化を行うことがわかっているFbs2を用いて定量的質量分析(SILAC)法により標的分子を効率よくスクリーニングする系を確立した。これまで、SCFを形成しにくくSkp1との二量体で存在するFbs1においては多くの糖タンパク質を基質として同定してきたが、Fbs2においては数種類の糖タンパク質しか結合が見られてこなかったが、今回のアッセイ法の確立により非常に多くの糖タンパク質を基質として同定することに成功し、どのような高マンノース型糖鎖を持つ糖タンパク質であっても細胞質にさえ存在すれば基質として認識される可能性が高いことがわかった。このスクリーニング法を用いてFbs2と相同性が高いFbxo44,Fbxo17,Fbxo27の基質のスクリーニングを終え、現在機能解析を継続している。
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