研究概要 |
単細胞緑藻類クラミドモナスのチャネルロドプシン類は、光受容がイオンチャネルゲート機能と協関している特異性があるので、セルセンサーのモーダルシフトの分子機構解明のモデルとして優れている。前年度までの研究を発展させ、チャネルロドプシンが光情報を電気的信号に変換するメカニズムを以下のように解明した。(1)チャネルロドプシン1の第6膜貫通ドメインをチャネルロドプシンの相同配列で置き換えることにより、以下の性質の光電流を計測した:(1)チャネルロドプシン1と同様の活動スペクトル、(2)アンサンブルコンダクタンスの増大。すなわち、第6膜貫通ドメインがアンサンブルコンダクタンスに関与している構造であること、第7膜貫通ドメインが活動スペクトルに関与している構造であることが示唆された。さらに詳細に検証したところ、第7膜貫通ドメインのN-末サブドメインに活性化スペクトルに関与している構造が同定された。すなわち、第1-5膜貫通ドメインがチャネルロドプシン1、第6膜貫通ドメインがチャネルロドプシン2、第7膜貫通ドメインのN-末サブドメインがチャネルロドプシン1、C-末サブドメインがチャネルロドプシン2に由来するキメラタンパク質(チャネルロドプシン・グリーンレシーバー)は、チャネルロドプシン1と同様の活動スペクトルを有する大きな光電流を示した。また、脱感作がほとんどない、ON, OFFの時定数が小さいなどの点において、神経細胞のオプトジェネティクス光駆動に最適化されていた。
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