公募研究
シロイヌナズナのMCA1およびMCA2は既知のイオンチャネルと相同性がないが、酵母のCa^<2+>チャネル欠損株にMCA1またはMCA2を単独で発現させて調べると、高い^<45>Ca^<2+>流入活性を示すので、両タンパク質は単独で新規のCa^<2+>チャネルとして機能する可能性が高い。そこで、これまでの研究成果を基盤として、平成21年度は以下の2つの実験を行った。1. 構造の解明(1) チャネルとしての多量体構造の解明:これまでの研究から最小でもホモ四量体を作っている可能性が示唆されていたので、今回架橋剤を使って更に大きい多量体を形成するのか検討した。その結果、最大で四量体を形成していることが明らかになった。(2) 電子顕微鏡による立体構造の解明:前年度までにMCA2タンパク質の単粒子解析から、その立体構造が明らかになっていたが、その構造体の中でどこがC末端か不明であった。そこで今年度はMCA2のC末端にGFPを融合して、その単粒子解析を行った。そして、GFPを融合していないMCA2の像と比較することにより、C末端を推測した。その結果、MCA2の立体構造の中でC末端は細胞質側に存在することが示唆された。なお、この研究は岡崎統合バイオサイエンスセンターの永山國昭教授および重松秀樹博士との共同研究であった。2. EF hand-likeモデュールの機能解析:MCA1とMCA2のEF hand-likeモジュールのCa^<2+>結合部位と予想されるAspとGlu残基をAlaに置換して、その活性を調べた。その結果、この置換変異体のMCA1とMCA2はどちらも活性を失った。このことから、EF hand-likeモジュールは活性に必要な部位であると考えられる。本研究は、我々が発見したMCA1とMCAの構造と機能を解明しようとするものであり、これまで得られた成果は極めて独創性が高い。
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