研究領域 | セルセンサーの分子連関とモーダルシフト |
研究課題/領域番号 |
21026026
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90337329)
|
研究分担者 |
矢田 俊彦 , 医学部, 教授 (60166527)
加計 正文 , 医学部, 教授 (90214270)
|
キーワード | 生理学 / 糖尿病 / インスリン分泌 / シグナル伝達 |
研究概要 |
膵β細胞は血中グルコース濃度に応じてインスリンを分泌していることから、グルコースセンサーのモデル細胞と位置付けられる。近年、β細胞における電位依存性K^+チャネル(Kvチャネル)や新規Ca^<2+>透過性チャネル(TRPチャネル)が、インスリン分泌に関与する可能性が報告されているが未解明な部分が多い。本研究では、膵β細胞におけるグルコース代謝情報およびホルモン情報変換装置としてのKvチャネルとTRPチャネルを介した新たなインスリン分泌制御機構を解明し、そのセンサー情報統合メカニズムおよび成長過程における環境適応変化を明らかにすることを目的とする。 1.ラット膵島におけるKv2.1チャネルのmRNA発現を確認し、二重免疫染色の結果、Kv2.1チャネルがインスリン産生β細胞に局在していることが明らかになった。 2.Kv2.1チャネルブロッカーのStromatoxin(ScTx)やGuangxitoxin-1E(GxTx)は、ラット分離膵島からのグルコース誘発インスリン分泌を促進した。 3.ScTxやGxTxは、β細胞のKv電流を抑制しグルコース刺激による[Ca^<2+>]_i上昇を増加させた。 4.グレリン(10nM)は、グルコース誘発インスリン分泌を抑制し、β細胞のKv電流を促進しグルコース刺激による[Ca^<2+>]_i上昇を抑制した。Kv2.1チャネルブロッカー存在下では、グレリンによるインスリン分泌抑制作用ならびにKv電流活性化作用、[Ca^<2+>]_i抑制作用が消失した。 以上より、膵β細胞ではKv2.1チャネルが活動電位を抑制制御しており、グレリンによるグルコース誘発インスリン分泌抑制機構には、Kv2.1チャネルの活性化が関与すると考えられる。
|