研究概要 |
TRPA1のcRNAプローブと抗体を作製し、神経栄養因子の受容体(TrkA, GFRa1, GFRa2, GFRa3, Ret)とTRPA1の、ラットDRG小型ニューロンにおける共存を調べた。免疫染色およびIn situハイブリダイゼション法による二重染色の結果より、NGFのレセプターであるTrkA、GDNF/ArteminのレセプターであるRetがTRPA1と高率に共存するデータが得られた。一方、GFRa1はTRPA1とほとんど共存していないが、GFRa2の約40%、GFRa3の約90%がTRPA1と共存することも判明した。形態学のデータはこれら神経栄養因子によってTRPA1が何らかの機能調節を受け、疼痛過敏の発症に関与する可能性が示唆された。カルシウムイメージング法においては、現時点でNGFによるTRPA1の機能増強は確認できている。しかしながら、Artemin-Ret/GFRによるTRPA1の生理機能調節機構をホールセルパッチクランプ法にて調べたところ、Arteminの短時間投与はTRPA1の機能を促進することはなく、むしろ抑制するデータが得られた。今後、さらにTRPA1と共存するその他の神経栄養関連因子の受容体の形態学的なエビデンスを探り、行動薬理学的そして電気生理学的観点から、一次求心性ニューロンにおける神経栄養関連因子によるTRPA1チャネルのモーダルシルトとその細胞内メカニズムを調べる予定である。
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