シロイヌナズナタイリングアレイを用いた解析から多くの乾燥ストレス誘導性遺伝子を同定した。この内、RD20、RD29AおよびCOR15A遺伝子について、乾燥ストレス状態とその回復過程(再吸水処理)における遺伝子発現解析を行うとともに、同過程におけるヌクレオソーム密度とヒストン修飾の経時的変化についてクロマチン免疫沈降法(ChIP法)を用いた解析を行った。これまでに、これら遺伝子の発現変動に伴う、多様なヒストン修飾変化を確認している。これら全ての遺伝子領域において、転写活性化のポジティブマーカーであるヒストンH3Lys4部位のトリメチル化が、再吸水による転写抑制後もある程度維持されていることがわかった。また、遺伝子の転写に機能するRNApolIIの結合量を調べたところ、再吸水処理により速やかに発現遺伝子領域から脱落することが明らかとなった。一方で、RT-PCRにより検出されたmRNA量は、再吸水処理後もRD29AおよびCOR15A遺伝子などでしばらく維持されていることから、これらmRNAは再吸水処理後に新規に転写されたものではなく、乾燥ストレス処理により発現誘導を受けたmRNAの残存物であることが明らかとなった。さらに、RD20およびCOR15A遺伝子領域ではストレス強度に依存した、ヌクレオソーム密度の変動を介したクロマチン制御機構が存在する可能性が示唆された。 また我々の研究チームでは、ゲノムワイドなクロマチン解析ツールとして利用できる、ChIP-on-chip法およびChIP-seq法を確立した。これにより、転写因子やクロマチンリモデリング因子などのゲノム上の結合部位、およびヒストン修飾変動をゲノムワイドで解析できるプラットフォームを準備することができた。
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