公募研究
Dmrt7の転写物はマウスの両生殖腺で検出されるが、Dmrt7 KOマウス解析よりDmrt7は精子形成にのみ必須である事が判っている。このDmrt7mRNAは、long formとshort formが存在することが確かめられている。Dmrt7のintron1途中からコード領域が始まりエキソン2へとアミノ酸配列が繋がるタイプをlong formタンパクと、エキソン2からコード領域が始まるタイプをshort formと通称する。この2種類のタンパク質はlong formタンパクがN末で31アミノ酸長い配列を持つ。これらを区別する為、long formとshort formに共通のエピトープを認識するラビット由来抗体(エキソン抗体)を作製した。また、long formにのみ特異的の存在する31アミノ酸を化学合成し、これに対するギニアピッグ由来の抗血清(イントロン抗体)を調製した。これらは、それぞれ該当する抗原部位(大腸菌由来)を組み替え抗原として合成し、担体に結合後抗血清の精製を行った。精製したそれぞれの抗体で生殖巣に発現するDmrt7の抗原のフォームと局在を解析した。精巣では両formのmRNAともに見出され、また両抗体に反応するシグナルが得られたことから、short formタンパクも、またlong formタンパクも翻訳され存在することが示唆された。一方、卵巣では両抗血清共にこれに反応する抗原は見出されず、卵巣ではshort form mRNAは転写されているものの、タンパク質にまで翻訳はされていない可能性が示唆された。これらの結果は、精巣内のDmrt7の発現には、少なくとも通常型(エキソン抗体とイントロン抗体の両方に反応するタンパク)とバリアント(イントロン抗体にのみ反応するタンパク)の2種類が存在していることが示された。また正常個体の精巣病理切片を対象とした免疫化学染色では、エキソン抗体での染色が染色体の境界に強いシグナルを示し、雄由来の生殖細胞に特異的な構造体であるXY体類似の外観を示したことから、Dmrt7の雄特異的な機能が示唆された。
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http://www.biochem.tohoku.ac.jp//bunsi/index-j.html