公募研究
近年、生殖補助医療(ART)技術の発達と伴に本来非常に稀であったゲノムインプリンティング(GI)異常を原因とする先天性疾患の発症頻度が増加しているとの報告が数多くみられる。GI機構の確立には配偶子形成過程におけるエピジェネティックな修飾としてアレル特異的メチル化領域(DMR)のDNAメチル化が主要な役割を果たす。このメチル化は配偶子の雄雌差を規定し、1次インプリントとして細胞に記憶され、維持される。またヒトGIの破綻は、先天性疾患に限らず、癌、生活習慣病などの後天性疾患に影響を及ぼす。本研究では生殖細胞系列のエピゲノム基盤として、DMRの系統的単離・同定を行い、ヒトARTがGI機構に与える影響について明らかにすることを目的とする。1)網羅的インプリント領域(DMR)の単離、同定:これまでに雌核発生胚由来幹細胞(PDS)および雄核発生胚由来幹細胞(ADS)を樹立し、抗メチル化シトシン抗体を用いたCHIP-on-chip法とwhole-genome Tiling arrayを組み合わせ、網羅的・系統的なDMRの検索を行ってきた。その結果、既知のDMRを含め、全ての染色体上におよそ300の候補領域をスクリーニングした。2)ヒト体外受精に用いる配偶子(精子)のインプリント異常に関する解析:ヒトインプリント異常解析法を開発し、東北大学より特許出願した。不妊症男性精子の約25%にインプリント異常があることを報告し、これがART出生児のGI異常症の頻度が高い原因となっていると推測した。
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Epigenetics (未定, in press)
Nucleic Acids Research (未定, in press)
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