公募研究
本研究課題は、1)Nanog遺伝子機能を欠損した生殖細胞の運命を明らかにする、2)Nanog遺伝子機能の欠損によってもたらされる分子ネットワークの異常を明らかにする、3)Nanog遺伝子の生殖細胞でのリプログラミングに関わる働きを明らかにする、事を目的とする。研究班員からトランスジェニックマウスの分与を受け、更に単一細胞cDNAライブラリー作製に関して共同研究を進めた。その結果、Nanog shRNAトランスジェニック(NRi-Tg)マウスと生殖細胞特異的DNA組み換えCre酵素発現トランスジェニック(TNAP-Cre)マウスまたは誘導型Cre発現トランスジェニック(ER-Cre)マウスとの交配により、生殖細胞特異的なNanog機能の欠損に成功した。Nanog遺伝子機能の欠損により1)初期生殖細胞が機能欠損後48時間以内に死滅する、2)生殖細胞の死滅は細胞死(アポトーシス)によって速やかに引き起こされる、3)Nanog下流の500個以上の遺伝子の発現が劇的に変化し生殖細胞特定的分子ネットワークが崩壊する、事が明らかになった。以上の結果は、マウス胚生殖細胞に特異的な生体内遺伝子ノックダウンという世界で初めての手法を用いて、未分化性維持鍵因子Nanogの機能を明らかにした研究として注目されている。この研究成果は発生生物学のトップジャーナルであるDevelopmentに2009年12月号に掲載された。
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Development 136
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http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/es03/index.html