公募研究
染色体の数的異常症(異数性)はダウン症候群のような先天性奇形症候群の原因となるが、多くはさらに重篤であり妊娠早期の流産となる。多くの異数性の過剰染色体は母親由来であり、第1減数分裂由来であり、母親の加齢に依存して頻度が増加する。卵子形成の場合、第1減数分裂は胎生期に始まり、第1減数分裂前期でいったん停止し、その思春期以降の排卵までの間、長く停止している。この期間に卵子に染色体の分離に影響するなんらかの不都合が生じると考えられる。わたしたちは、異数性を繰り返す習慣流産の患者で、第1減数分裂時の相同染色体の対合に関与する蛋白をコードするSYCP3遺伝子の変異を同定した。この変異のひとつはスプライシング異常により第8イントロンの残存をきたし、C末端の変異蛋白を産生する。わたしたちは正常ヒト精巣でもわずかにSYCP3遺伝子の第8イントロンの残存がみられることを発見した。健常人でもこのC末端の変異蛋白が産生され、その加齢による蓄積によって、習慣流産患者と同等の病態をきたす可能性がある。本年度は、正常マウス性腺でのSYCP3遺伝子の発現を解析し、ヒトよりも量的に少ないが、同じイントロンの残存が見られることを証明し、マウスがモデルとして使える可能性を示した。マウスのイントロン残存型転写物から産生されると想定されるC末端の変異型蛋白のC末端のペプチド抗体を作成し、その有用性を検討した。強制発現させた蛋白を認識することが判明したが、内在性の蛋白は検出できなかった。
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http://www.fujita-hu.ac.jp/~genome/mg/