公募研究
われわれは、14番染色体父親性ダイソミーの表現型を示す患者の解析をとおして、2か所のインプリンティングセンターのうちIG-DMRのみを欠失した症例とMEG3-DMRのみを欠失している症例の詳細な解析から以下を明らかとした。(1)IG-DMRは個体と胎盤の両者でDMRとなっているが、MEG3-DMRは個体でのみDMRとなっており胎盤では低メチル化状態にある。(2)IG-DMRは個体においてMEG3-DMRのメチル化パターンを支配する。(3)個体では母親由来アレルのMEG3-DMRが全インプリンティング遺伝子の発現パターンを制御し、胎盤では母親由来アレルのIG-DMRが全インプリンティング遺伝子の発現パターンを制御する(PLoS Genetics in press)。これまでに同一インプリンティング領域において生殖細胞でメチル化が確立するgerm line DMRと受精後にメチル化が確立するseconday-DMRの機能が明確となったインプリンティング領域はなく、我々の研究が初めてである。エビ変異の発症メカニズムの解明のために、エビ変異患者のゲノムDNAを用いてCGHアレイにて微小欠失の同定を試みたが明らかな欠失は同定されなかった。そこでこれらの患者、両親のサンプルを用いて14q32.2領域を網羅的に次世代シークエンサーで現在解析を行っている。14番染色体父親性ダイソミーの表現型に関連する遺伝子の検索のために、14番染色体父親性ダイソミー患者の胎盤、皮膚培養細胞を用いてのマイクロアレイ解析を行った。現在、候補となる遺伝子のピックアップが終了したところである。生殖補助医療の遺伝学的安全性の検討については、生殖補助医療をうけた児の胎盤、躋帯血を用いてDMRのメチル化状態の解析を開始している。さらなるサンプルの集積を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Journal of Pediatrics 155(6)
ページ: 900-903
Genomics 93(5)
ページ: 461-472
PLoS Genetics (in press)
Journal of M edical Genetics (accepted)
http://www.nch.go.jp/endocrinology/upd14/index.html