研究概要 |
本研究では,[Pt_4Ge_<12>]-cageに注目し,各サイトの微視的電子状態を調べ,cage内の内包イオンのラットリングが物性に及ぼす影響を調べている。特に,イオンの価数やサイズの違いとラットリングの関係について比較し,それらに基づいて新規機能性の発見の可能性を考察する。具体的には,ラットリング効果の大きいLaPt_4Ge_<12>と効果の小さい(Sr,Ba)Pt_4Ge_<12>の微視的電子状態を比較した。 本年度は,まず(Sr,Ba)Pt_4Ge_<12>の^<195>Pt-NMR測定を行い,ナイトシフトの異方性の解析から,ラットリング効果の大きいLaPt_4Ge_<12>ではPt-5s電子のフェルミ面への寄与が大きいことを明らかにした。また,(La,Pr)Pt_4Ge_<12>の^<73>Ge-NQR測定を行い,ゼロ磁場下で超伝導状態の本質的振る舞いを調べた。その結果,LaPt_4Ge_<12>では低温での1/T_1の温度変化からBCS型超伝導体であることを示唆したが,T_C直下にコヒーレンスピークが観測されず,ラットリングによる強いフォノンダンピングを示した。一方,PrPt_4Ge_<12>ではコヒーレンスピークが観測されたものの,理論モデルに比べてやや小さく,μSR測定から指摘されるような,超伝導ギャップに点状ノードの存在を示唆する結果が得られた。その詳細の解明や(Sr,Ba)Pt_4Ge_<12>の^<73>Ge-NQR測定については,引き続いて現在も研究中である。
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