研究概要 |
本年度の研究は,試料作成を連携研究者の菊池が担当し,光学測定・物性解明を代表者の江馬を中心として,研究協力者の欅田および学生3名が協力して行った. GaNナノコラムについては、これまでの研究で、励起子・励起子分子・EHPなどが明瞭に観測できることがわかっている。21年度は、コラム径を揃えた試料を作成し、発光測定、ポンププローブ測定などを用いて、幾何学的形状が励起子分子とEHP状態に与える影響を詳細に調べた。また、形状による効果を理論的に予測し、数値計算と実験結果を比較することで、コラム形状が動的電子相関に及ぼす影響を明らかにしようと試みたが,その達成には至らなかった。 InNについては、ナノコラムに進む前に、薄膜を用いて基礎物性を明らかにすることに集中した。21年度は、残留キャリア濃度の異なるInN薄膜を用意し、光励起後のダイナミクスをポンププローブ法を用いて測定し,キャリアの緩和機構が,LOフォノン散乱による熱化とキャリア再結合の二つの過程を経ることが明らかになり,それぞれの時定数が求められた.さらに,光励起キャリアのバンドギャップ再規格化の効果が非常に強い系だということも判明した. さらに,ナノコラムがランダムに配列した場合の光局在効果とそれによるレーザー発振に関する研究も発展させた.このテーマは当初の研究計画にはなかったが,本研究で扱うようなナノ材料には非常に重要な問題であるため,今後はこのテーマに関しても進めて行く予定である.
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