研究概要 |
1. 中性子過剰核での(γ,n)/(n,γ)反応断面積の連続状態QRPA理論に基づく記述(松尾) Skyrme密度汎関数にもとづく連続状態QRPA計算を高いエネルギー分解能で遂行するための数値計算の準備を進めた。Skyrme密度汎関数の速度依存項の正確な取り扱いは、エネルギー加重和則を満たした(γ,n)/(n,γ)反応断面積の記述のために不可欠である。Yoshida-Van Giaiによる独立なQRPA計算と比較することで、我々の理論の精度を再確認した。 r過程経路近傍にあると考えられる中性子過剰Sn同位体を対象に、元素合成過程で問題となる有限温度中性子に対するマックスウェル平均(n,γ)反応断面積を評価した。元素合成過程にかかわるのはT=10^8-10^10の範囲で、連続状態QRPA理論と連続状態を離散化する標準的手法では1桁以上の差を生むことを明らかにし、また、10keV程度のなめし幅での計算を次の目標とすべきことを明らかにした。 2. ニュートリノによる^4He, ^3He, ^3Hの連続エネルギー領域での応答のab initio計算(連携研究者 鈴木) ^4Heのニュートリノ非弾性散乱断面積を評価するうえで、少数系厳密計算はab initio計算の観点から極めて重要であるが、そこで問題となる連続エネルギー領域での応答強度関数を記述するための手法としてグリーン関数を用いた定式化を開発した。モデル系としての3体系を対象に、複素スケーリング手法、ローレンツ積分法などとも比較し、相互の優位性と問題点を明らかにし、ニュートリノ反応の計算にたいする指針を得た。
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