本研究は、3成分ABC型直鎖状トリブロック共重合体の自己秩序化において申請者らが発見した「2重らせんシリンダー構造」をベースとして、薄膜中での2重らせんシリンダー構造の基板に対する完全垂直配向を目指すものである。予備検討として行った実験では、Poly(styrene-block-butadiene-block-methylmethacrylate)(SBM)トリブロック共重合体の厚さ約1μmの膜において、2重らせん相シリンダー構造は、基板表面では水平に配向していたものの、膜中央部では垂直配向していた。本研究では、溶媒蒸発速度を精密に制御できる装置を作製し、膜厚全体に渡って2重らせん構造が垂直に配向するような構造制御法を開発することを目的とする。このようなナノ構造が実現すれば、高性能ウイルスろ過膜・"ソフトナノクッション"材料・高周波電磁波吸収体などの新規機能材料の創成に繋がる可能性が高く、本研究はその基礎となる。 平成21年度は下記の(i)と(ii)について見当を行い、(i) については目標を達成し、(ii) については基礎的な知見を得ることに成功した。 (i) SBM薄膜作製時の溶媒蒸発速度制御用装置の作製 (ii) SBM薄膜中での溶媒蒸発速度制御による2重らせん構造の基板に対する垂直配向の実現
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