公募研究
本課題は、マイクロ秒の時間分解能とナノメートルの空間分解能を同時に達成する超高速光学顕微鏡を開発してモータータンパク質の1分子計測を行い、その化学-力学共役におけるタンパク質の構造揺らぎの役割を解明することを目的とする。本年度は、全反射型照明タイプのレーザー暗視野顕微鏡の設計および組み立てを行い、その基本性能を検討した。またデータ処理の高速化を目指し、得られた画像の解析法(座標位置決定法)として、シンプルで高速な重心計算(輝度による重みづけを含む)と、より処理時間のかかるガウス関数によるフィッティング(いわゆるFIONAに用いられている方法)との比較を行った。直径60nmの金コロイド粒子をプローブとして利用し、波長532nmのレーザーを光源に用いた全反射型レーザー暗視野顕微鏡で画像取得をした場合、9.1マイクロ秒の時間分解能(110,000フレーム/秒)で約1.5nmの位置決定精度が得られた。また位置決定精度はガウスフィット法と重心計算法で差はみられず、より高速で短時間で結果が得られる後者が非常に有効であることが明らかとなった(Ueno et al Biophys J 2010 印刷中)。今後は、532nm以外のレーザー波長や(473nm等)、金コロイド以外のプローブ(銀コロイド等)の検討等を行い、よりサイズの小さなブローブで同等またはより高い空間分解能を達成する。その後、回転モータータンパク質であるF_1-ATPase (F_1)の観察を行い、ATP結合待ちやATP加水分解待ちの停止、および回転中の回転子γサブユニットの揺らぎを詳細に調べる。特に、ATP加水分解活性が異なる好熱菌由来および大腸菌由来のF_1の揺らぎの比較を行う。
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