本申請研究の目的は光反応における光受容タンパクの揺らぎ変化の緩和過程を検出することである。具体的にはタンパク質に固定化させた蛍光プローブの左右円偏光成分の発光強度差(g値)を測定する。g値は蛍光プローブ(レポート分子)のキラリティーを明確に反映するため、タンパク質の超分子構造の微細な変化に対しても極めて敏感である。このg値の経時変化から光受容タンパク質の光反応による揺らぎの変化とその緩和過程を検出する。本申請研究の研究計画は、蛍光プローブ(レポート分子)の合成と光受容タンパク質への固定化、円偏光発光を測定するための装置開発に大きく分けられる。初年度(平成21年度)はレポート分子の合成に重点を置いて研究を行った。レポート分子としてタンパク質のリシン残基と反応してタンパク質に固定化されるユーロピウム錯体を開発した。このユーロピウム錯体を固定化したウシ血清アルブミンから大きな左右円偏光強度比を持つ発光が得られることを明らかにした。
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