研究概要 |
本年度は,以下の研究成果を得た. 1. DHFRループ変異体の内部運動性解析 G67A, G67V変異体の内部運動性の解析を行い,野生体との違いを比較した.その結果,活性変調が観測されたG67Vでは,内部運動速度は750sec^<-1>を中心に分布しているが,活性変化の小さいG67Aと野生体は500 sec^<-1>を中心とした速度分布を持っている.また,揺らぎを持っ構造部も,G67VはG67Aおよび野生体と異なっていることが分かった.構造揺らぎの速度・構造上の分布の違いが活性変調と関係することが示唆された. 2. G67位欠損変異体の構造安定性・活性パラメーターの解析 G67位置を欠損した変異体の変成自由エネルギー変化量を測定し,野生型よりも明らかに構造安定性が低下していることを見いだした.また,酵素反応パラメーターを解析した結果野生体よりもkcatが明らかな低下を示すことを見いだした.次年度は,この変異体の内部運動性解析を進める. 3.ストップドフローを用いたDHFR変異体の反応速度変化 G67V変異体のkcatの低下がどのような反応ステップの変調によるかを解析した.その結果,hydride transfer速度は約20%低下していることが分かった.観測されたkcat変化の全てがhydride transfer過程の低下により説明されるものではないが,構造揺らぎの変化がhydride transfer過程にも影響を与えることを明らかにした.
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