基質との相互作用は多くの場合、タンパク質表面の側鎖原子が担っていることを考えれば、主鎖の運動ばかりでなく、基質認識部位の側鎖の基質結合に伴う運動が重要となる。しかしながら、これまで主鎖運動を表現・解析する方法は確立されてきたが、側鎖運動、特にタンパク質表面に露出した側鎖運動の表現・解析法は存在しない。そこで本研究では、側鎖の運動の表現方法を確立し、それを線型応答理論に適用することで、タンパク質の側鎖を含んだ全原子の平衡揺らぎと機能的運動を接続する理論を構築することを目的とする。 (1) 側鎖の運動の表現 側鎖運動の長時間分子動力学計算による観察と特徴抽出側鎖運動のモデル構築のために、タンパク質側鎖の運動について、LAO結合タンパク質について1μ秒までの長時間分子動力学計算を行い、その軌跡を解析することによって、その動的な振る舞いの一般的性質の抽出を試みた。 (2) 非調和性の表現:擬調和近似を超える試み 分散共分散行列に代わるより一般的な応答関数の表現の可能性として、grid点で表現される分布関数とその応答関数の試みを行った。
|