公募研究
DNAの立体構造としては、Watson-Crick塩基対により形成される二重らせん構造が知られているが、塩基配列や水溶液条件によっては四重鎖(四重鎖DNA)等としても存在する。真核生物の染色体末端に存在するテロメア部位にあるグアニンに富んだ繰り返し配列は、高濃度のカリウムイオン(K^+)存在下でG-カルテットと呼ばれる四重鎖構造を形成する。G-カルテットの構造は、グアニン4つが同一平面内で環状にHoogsteen塩基対を形成することにより安定化されている。G-カルテットのπ電子系の平面性と大きさは、π-πスタッキング相互作用を通したヘムのポルフィリン環の認識には適している。また、四重鎖DNAには、G-カルテットの分子間におけるπ-πスタッキング相互作用により二量化する性質があり、ヘムの分子認識に活用可能である。本研究では、四重鎖DNAに内包されたπ空間とヘムのπ電子系の相互作用により生じる複合体の立体構造を解析すると共に、四重鎖DNAπ空間中の特異なヘム電子構造について明らかにした。その結果、ヘム-DNA複合体におけるヘムは、四重鎖DNAの3'末端のG-カルテットのπ平面2つによって分子間にサンドイッチされた、言わば四重鎖DNAのπ空間に孤立した状態で存在していることを初めて見いだした。また、この複合体のヘム鉄は低スピン状態で存在していることから、ヘム鉄とG-カルテットの間には比較的強い相互作用の存在が示唆された。
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