公募研究
π電子を通して生体分子の機能を原点から見直すと共に、四重鎖DNAのG-カルテットにより形成される周期的π空間、タンパク質内部のπ電子系アミノ酸側鎖のシステム化により形成されるπ空間ネットワーク、およびヘムタンパク質等の補欠分子族として生物界に遍在しているヘム(鉄-ポルフィリン錯体)のπ電子系等、様々な生体π空間を融合させた"高次π系生体分子"を創製する研究を行った。その結果、立体構造が決定されて以来半世紀以上も謎であった酸素貯蔵ヘムタンパク質ミオグロビン(Mb)の酸素親和性および外部配位子識別はπ空間の性質によって調節されていることを発見した。また、四重鎖DNAのG-カルテットにより形成される周期的π空間とヘムπ電子系が部位特異的に相互作用することも明らかにした。さらに、これらの研究成果に立脚して、Mb中のヘムπ電子系への系統的電子操作がMbの機能に与える影響を解析する研究を通して、生体π空間電子論の確立に寄与する知見を得た。また、高次π系生体分子におけるπ空間の電子を制御することにより、生体分子の機能を操作する手法を提案するための基礎的知見を得ることができた。このように、様々な生体π空間の自己組織化により生成する一連の高次π系生体分子に対してストラテジックリサーチを行うことにより、高次π系生体分子におけるπ電子密度やπ空間の歪み、サイズ、安定性等の構造化学的因子がヘムπ電子系の機能を調節する分子機構を解明する研究に寄与することができた。
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Biochemistry
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